自立支援医療とはどんな制度?

自立支援医療とは

自立支援医療とは、精神障害者・身体障害者・18歳未満の障害を有する児童の心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を3割から1割に軽減したり、1ヶ月の上限額が設定され、上限額以上にならなかったりする公費負担医療制度です。

自立支援医療の種類と対象

自立支援医療には3種類あり、精神通院医療、更生医療、育成医療があります。

厚生労働省のホームページでは以下のように説明しています。

精神通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者

更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)

育成医療:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)

さらに、どのような疾患や障害が対象となるのかをご説明します。

精神通院医療

自立支援医療の精神通院医療の対象者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する統合失調症、精神作用物質による急性中毒、その他の精神疾患(てんかんを含む。)を有する者で、通院による精神医療を続けていく必要がある方が対象になります。

また、症状がほとんどなくても、回復した状態を保ったり、再発を予防するための通院を続ける必要がある場合も対象になります。

代表的な疾患の対象
・うつ病、双極性障害(躁うつ病)
・統合失調症、妄想性障害
・自閉症、アスペルガー症候群
・不安障害、強迫神経症、適応障害
・多動性障害、チック障害
・アルコール依存症、薬物依存症
・パーソナリティ障害
・知的障害
・摂食障害
・てんかん など

更生医療

更生医療は、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者で身体上の障害を有すると認められる方に対し、その障害の除去や軽減を手術などの治療により、日常生活、社会生活、職業能力などの能力の回復、向上、獲得することを目的として行われるもので、必要な自立支援医療費が支給される医療費助成制度です。

対象となる障害と治療の例
1.視覚障害
白内障 → 水晶体摘出手術
網膜剥離 → 網膜剥離手術
瞳孔閉鎖 → 虹彩切除術
角膜混濁 → 角膜移植術

2.聴覚障害
鼓膜穿孔 → 穿孔閉鎖術
外耳性難聴 → 形成術

3.言語障害
外傷性又は手術後に生じる発音構語障害 → 形成術
唇顎口蓋裂に起因した音声・言語機能障害を伴う者であって鼻咽腔閉鎖機能不全に対する手術以外に歯科矯正が必要な者 → 歯科矯正

4.肢体不自由
関節拘縮、関節硬直 → 形成術、人工関節置換術等

5.内部障害
・心臓
先天性疾患 → 弁口、心室心房中隔に対する手術
後天性心疾患 → ペースメーカー埋込み手術

・腎臓
腎臓機能障害 → 人工透析療法
腎臓移植術(抗免疫療法を含む)

・肝臓
肝臓機能障害 → 肝臓移植術(抗免疫療法を含む)

・小腸
小腸機能障害 → 中心静脈栄養法

・免疫
HIVによる免疫機能障害→抗HIV療法、免疫調節療法、その他HIV感染症に対する治療

育成医療

育成医療は、児童福祉法第4条第2項に規定する18歳未満の障害児(障害に関わる医療が行わないときは将来障害の残すと認められる疾患がある児童)で、その身体障害を除去、軽減する手術などにより、確実に効果が期待できる児童に対し、必要な自立支援医療費が支給される医療費助成制度です。

対象となる障害と標準的な治療の例
1.視覚障害
・白内障、先天性緑内障

2.聴覚障害
・先天性耳奇形 → 形成術

3.言語障害
・口蓋裂等 → 形成術
・唇顎口蓋裂に起因した音声・言語機能障害を伴う者であって、鼻咽腔閉鎖機能不全に対する手術以外に歯科矯正が必要な者 → 歯科矯正

4.肢体不自由
先天性股関節脱臼、脊椎側彎症、くる病(骨軟化症)等に対する関節形成術、関節置換術、及び義肢装着のための切断端形成術など

5.内部障害
・心臓
先天性疾患 → 弁口、心室心房中隔に対する手術
後天性心疾患 → ペースメーカー埋込み手術

・腎臓
腎臓機能障害 → 人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)

・肝臓
肝臓機能障害 → 肝臓移植術(抗免疫療法を含む)

・小腸
小腸機能障害 → 中心静脈栄養法

・免疫
HIVによる免疫機能障害→抗HIV療法、免疫調節療法、その他HIV感染症に対する治療

・その他の先天性内臓障害
先天性食道閉鎖症、先天性腸閉鎖症、鎖肛、巨大結腸症、尿道下裂、 停留精巣(睾丸)等 → 尿道形成、人工肛門の造設などの外科手術

月額負担上限額

① 利用者負担が過大なものとならないよう、所得に応じて1月当たりの負担額を設定。
(これに満たない場合は1割)

② 費用が高額な治療を長期にわたり継続しなければならない(重度かつ継続)者、育成医療の中間所得層については、更に軽減措置を実施。

所得区分 更生医療・
精神通院医療
育成医療 重度かつ継続
一定所得以上
市町村民税235,000円以上
20,000円
中間所得2 
市町村民税
33,000円以上235,000円未満
医療保険の
高額療養費
※精神通院の
ほとんどは
重度かつ継続
10,000円 10,000円
中間所得1 
市町村民税課税以上
33,000円未満
医療保険の
高額療養費
※精神通院の
ほとんどは
重度かつ継続
5,000円 5,000円
低所得2 市町村民税非課税
(本人収入が800,001円以上)
5,000円 5,000円 5,000円
低所得1 市町村民税非課税
(本人収入が800,000円以下)
2,500円 2,500円 2,500円
生活保護
生活保護世帯
0円 0円 0円

※重度かつ継続の範囲
・更生・育成
腎臓機能・小腸機能・免疫機能・心臓機能障害(心臓移植後の抗免疫療法に限る ) ・肝臓の機能障害(肝
臓移植後の抗免疫療法に限る )

・精神通院
①統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)
②精神医療に一定以上の経験を有する医師が判断した方

・疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続する ことから対象となる者
更生・育成・精神通院 医療保険の多数該当の者

自立支援医療の申請から利用まで

1.受給資格があるか、主治医に相談する

2.申請する場合は、役所で申請用紙を貰う

3.主治医に診断書を作成してもらう

4.必要なものを用意し、役所の窓口に行く

5.申請後1~2ヶ月で自立支援医療受給者証と自己負担上限額管理票が届く

6.指定した病院・薬局などで提示すると自立支援医療の適用になる

申請時に持っていくもの
・健康保険証
・通院している病院の診断書
・マイナンバー
・印鑑
・本人確認できるもの
・登録する医療機関や薬局の名称・所在地がわかるもの
・世帯全体の市民税額を証明する書類